むずむず脚症候群の基礎知識
病名に「ムズムズ」というちょっとユーモラスな表現が使われ、「足ムズムズ症候群」(むずむず脚症候群とも言う)という病名からは、どんな病気なのかあまりピンとこない人もいるかもしれません。
ところが、英語で「restless legs syndrome」と表現されるこの疾患は、ヨーロッパでは相当昔から認知されているものとなっています。「RLS」という略名もあります。
この疾患についてはあまりマスコミでもあまり報道されていないので、その結果、一般の間では「足ムズムズ症候群」のことがほとんど認知されていません。認知度がかなり低いわけで、実際にはこの疾患によってひどい不眠などで長期にわたって苦しんでいる人がたくさんいても、適切な治療も受けられていないケースが多く、これはまさしく問題だと思います。
日本である程度取り上げられるようになったのは、1997年にアメリカから現状調査依頼が日本睡眠学会にあったことからということで、かなり最近のことなのです。これと似た状況だったのが「睡眠時無呼吸症候群」で、約20年前の時点では誰も知らなかったのです。
さて、「足ムズムズ症候群」の方ですが、日本の医師間ではかなり有名な疾患で、日本睡眠学会が中心になって、大阪大学の杉田教授による「周期性四肢運動障害」、「前駆症状」として研究され続けてきた症候群です。
この疾患の特徴は、身体末端の不快感、痛みを感じることから、入眠障害や中途覚醒など、特に睡眠障害の要因となることが多い慢性病態だということです。広く見られる神経疾患だとされて、「レストレスレッグス症候群」、「下肢静止不能症候群」とも呼ばれます。こうした名称は、「どうしても脚を動かさずにはいられない」という非常に独特の症状を表現したいからで、「ムズムズ」という言葉もそうして使われたわけです。
まだ発症する正確な原因は発見されていないのですが、悪化すると、最悪の場合は自殺に追い込まれる人もいるそうで、全く軽視できない疾患です。